去年の秋、新所沢に住む60代の男性からこんな相談がありました。
『親から相続した空家を売却したい』という相談でした。一戸建てのその家は、ご自身も学生の頃に住んでいた思い入れのある実家でした。
「相続手続きは5年前に終わっていて、土地も建物も、もう名義は自分になっています。」とこの男性は言っていました。
話を聞くと、ご自身が住んでいたときは、「南道路に面していて陽当りがよく、住みやすい家だった」そうです。
しかし、今では逆に、「陽当りが良いせいで雑草がすぐに伸びてきて、近所の迷惑にならないか、いつも気になっちゃう。」と言っていました。
そのため、空家の管理のためにちょくちょく車で30分かけて行っていたけれど、「維持するのがかなりきつくなってきた」そうです。
また、「秋には台風も来るから、風で屋根瓦が落ちたニュースとかを見ると、人にケガをさせないか心配でずっと気になっていた」とも言っていました。
そんなことを考えながら過ごす日々は、男性にとって気持ち的に少しずつ重荷になっていったそうです。
お子さんなども含めて、家族や親せきで将来的に、その家を使う可能性がある人はいないということでした。
そこで、次の代にこの負担を残さないためにも、空家となったご実家の売却を決意されたそうです。
空家の調査をしてみると
売却の相談を受けて、私は空家の調査を始めました。
すると、空家が面している南道路は私道でした。しかし、その『私道の持ち分』を相続登記のときに、名義変更するのを忘れてしまっていたのです。
私道の持ち分は、まだ亡くなられたお父さんの名義になっていました。
私道の持ち分がないと、他人が所有する道路を通らないと家に行けないため、そのままでは売りにくいです。ただ、この場合は名義さえ変更すれば大丈夫です。
持っている不動産を忘れるなんてことある?そう思いますよね。それがけっこうあるんです。
忘れられてしまう不動産はいくつかはありますが、その代表格(?)が『私道の持ち分』です。
目に見えて分かりやすい土地と建物は気づいても、私道の持ち分を忘れてしまうのです。
もちろん、公道だけに面していて、私道の持ち分を所有していなければ関係はありません。
ただ、自宅だけでなく、郊外に持っている別の不動産は私道の持ち分があったりする可能性があるので、やはり注意が必要です。
相続手続きの流れ
相続手続きの流れはざっくり、『誰が相続するか(相続人の確定)』と『どんな相続財産があるか(相続財産の確定)』を確認して、『どうやって分けるか(遺産分割協議)』を決めていきます。そのあと実際に『名義を変更する(相続登記)』という流れです。
この流れの中で、『私道の持ち分』に限らず、『未登記建物』や『昔買った郊外の土地』、または『知らなかった預金』など『忘れられている財産』『気づかない財産』がけっこうあるのです。
しかも今回の男性は、「司法書士に頼むと費用がかかる」という理由から、慣れない相続手続き(法務局に提出する相続登記も)を、何度も市役所や法務局に行って質問して、ネットでかなり調べたり、謄本を取ったり、亡くなられたお父さんの戸籍などすべての書類を自分で取り寄せ、すべての書類を自分で作って、なにもかもすべて自分でやりました。
にもかかわらず、私道の持ち分の名義を変更するのを忘れてしまったのです。
しかも、「遺産分割協議書の原本はもう手元にない」だけでなく、「コピーもない」状況でした。もしあったとしても重要な文言(あとで説明)が抜けていたため、ざっくり言うとやり直しでした。
もう、自分でやり直す気力と時間的余裕がなく、空家の売却もからんでいたので、結局、費用を払って専門家に依頼しました(私が手配しました)。
最初から全部頼んでいても費用はほとんど変わらなかったので「自分がむちゃくちゃ大変な思いをしてやった、あの手続きは何だったんだろう」と言っていました。
ちなみに専門家に頼むと簡単です。費用や期間は、財産や相続人の数(この時は2人)などによって変わってきます。
私が不動産売却の相談を受けるときに、私道持ち分だけ名義変更するのを忘れていることは「よくあること」とまでは言わなくても「ちょいちょいあること」です。
「相続手続きの前に、私に相談してくれれば簡単に防げたかもしれないのに」って思うと残念です。
ちなみに今回、相談のあった男性は自分でがんばったときに「他の財産が出てきたら誰が相続するか」を明記しておけば大丈夫でした(もちろん原本があれば)。
例としては、遺産分割協議書に『本協議書に記載のない財産及び本協議成立後に判明した相続財産については、〇〇が相続する』などの記載です(状況により異なります)。
こうすれば、遺産分割協議書に記載のない他の不動産が後から出てきても大丈夫です。不動産だけじゃなく、不動産以外の財産が出てきても大丈夫です。でも、借金などマイナスの財産がある可能性があるときは注意してください。
相続の個別相談(無料)
こんなこともあったので、今回、相続の個別相談会(無料)を開催することにしました。
〈日程〉10/21(金)~10/31(月)。
①午前10:00~ ②午後1:00~ ③午後3:00~
お電話でご予約ください。
トーショク 舞草亮
追伸
親の立場でも、子の立場でも、配偶者の立場でも相談してください。相続の発生前でも、すでに発生していても大丈夫です。不動産があっても、不動産がなくても相談してください。ざっくり知るだけでも、少しは安心できると思いませんか?相談だけでも大丈夫です。駐車場もあります。お待ちしています。

トーショク
舞草 亮
まいくさ りょう
1976(昭和51)年
10月1日生 辰年
177㎝77㎏(靴26.5㎝)
所沢出身
若草幼稚園 上新井小 小手指中出身。高校時代は毎日、新所沢の駅から学校に通っていました。子供のころは北所沢町にある剣道道場(マルハ啓道館)に通っていました。所沢では上新井、椿峰、山口、松葉町に住んだことがあります。
不動産歴23年。宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士・不動産コンサルティングマスター。ちなみに上海で5年仕事をしていたので中国語(HSK6級・HSK口試高級)が少し話せます。
〈ご来店〉

所沢市松葉町15-12

〈お電話〉
0120-104-493
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